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なるほどクールで鈍い主人公に理解しにくい文章。読み終わって妙にマッチしてるという感想です。というか前半は突飛な設定とテンポに困惑する事と思いますが、3章の終わり辺りでテンポが変わって、そこから盛り上がりっぱなしです。待ってましたとばかりにシリアスでハードな展開盛り合わせで、最初に書かれていた小さいエピソードもしっかりと終結させてて好感が持てました。
ただイラストのイメージが幼すぎな感じです。騙されるな。

　表紙と帯を見たら、萌え系ライトノベルとおもうかもしれません。しかし実態は全く異なります。まずSF用語が何の説明もなく出てきます。物理学もしくは情報系に詳しい人か、SFを読み慣れた人でないと語句が分からず雰囲気しか理解できません。
　次にプロットですが、読者の想像を次々に裏切ってくれます。もうめちゃくちゃです。普通に考えて、あり得ないことが次々に起こります。それが楽しいのですが、人によっては理解できないの一言で終わるでしょう。
　文体ですが、主人公の周囲で起きている現象はハイなのに、主人公の感情はローテンションでつづられています。このギャップが楽しいのですが、人によってはつまらないの一言で終わってしまうでしょう。また後半に行くにしたがって主人公の感情描写が微妙に変化してゆきます。それによって主人公の変化を演出しています。
結論：これはライトノベルの皮をかぶったテーマ性の高いSFです。萌えを期待して買うと後悔します。SF好きは買いましょう。

　キャラクターは好感のもてるものばかりだと思うのですが、それらを上手くストーリーに登場させていなかったように感じました。何人か噛み合ってないような気がして、浮いていたと思います。ストーリーにもっと深く関わっても良いはずなのに途中で登場しなくなったりしてました。なので、☆２つにさせていただきました。挿絵がカワイイので、そっちを主に好きだという人にはお勧めかもしれません。